
どうしても手書きに戻ってしまう。ヒアリングマラソンの時間の管理は意外に大変である。ワードに英語日記を書きながら、その横にメモしたこともある。しかし、英語日記は気を抜くと10日程、空いてしまったりするので意味がない。メールソフトについているスケジュール帳の脇に書くこともあったが、岐阜で執筆活動している期間は書く以外に用事はほとんどないので、スケジュール帳を見ない日の方が多い。自然に書かなくなる。
アルクの会員向けサイトで時間管理するサービスを利用したこともある。しかし、そのページを開く習慣が身につかない。ツィッターやFacebookはほぼ毎日、開くというのに。
結局のところアルクからいただいた卓上カレンダーを利用している。机の前に置いてあり一日一回は目につくので、気がついた際、スケジュール欄の枠いっぱいに「1」、「2.5」と前日の数字を書きこむ。ただ、これにも2つ程、問題がある。現在、月に一週間程度は東京滞在になる。その間は記入しない。戻ってきてから1週間さかのぼって、ヒアリング時間を思い出す記憶力は、どうしてもいい加減になる。そして、もう一つ。洗濯物を干す時間や歯磨きの時間など、こまぎれ時間で聞く際の時間計算はどうしてもアバウトになる。
先日、このページでお世話になる白川氏からuListeningなるiPhoneアプリを教えていただいた。アプリ上でiPhoneに入っているイングリッシュジャーナルを聞くと時間を記録してくれる。ヒアリングマラソンのコンテンツはほとんどiPhoneで聞いていることが多い僕にとっては最適のアプリである。
これもまた問題はないわけではない。僕は字幕なしと英語字幕の映画鑑賞の時間はヒアリングマラソンの時間に加えている。それはさすがに時間がカウントされない。とはいえ、映画の時間は2時間が目安でアメリカのドラマだったら45分などとわかりやすいので、1週間上京中でもその程度であれば思いだせる。というわけで現在はuListeningとアルクのカレンダーの合わせ技で計算することにしている。

(ヒアリングマラソン開始から59日 1000時間まで残り851時間)

「quit:(職・学校などを)やめる。立ち去る。…を断念する。辞職する。敗北を認める」
使用しているのは「q」と「u」と「i」と「t」。たった4文字の簡単な単語を僕は長い間、どうしても憶えることができなかった。ようやく憶えた今となっては「なんでこれくらい憶えられなかったんだろう?」と思うが、こういったことは特に英語に限ったことではないんだよなぁ。
「キクタン」をランダムにめくっていて「quit」が出てくる度に、「あっ、またこれだ?」とは思うけど意味が浮かばない。そして見た時に「あぁ~、そうだった」と嘆くのである。「appreciate:~を感謝する」(たまたまキクタンのページ上でquitの上にある単語)なんて10文字で身体に染み込んでいるのに、なぜquitが憶えられない?と自分を問いただしたくなる。文字で見た場合、「完全に」や「すっかり」を意味するquiteを先に浮かべてしまうということもあるのかもしれないが、耳で聴く場合、発音は似ていないのだからそれだけではなさそうだ。単語自体に相性というのがあるのかもしれないとあきらめつつあった。
しかし、先日、オリバーストーン監督の映画「ニクソン」を英語字幕で観ていたら、相性の悪さなどというものが吹っ飛んでしまった。アメリカ第37代大統領リチャード・ニクソンがウォーターゲート事件で辞任するまで、精神的に追い込まれていく様子が克明に描かれている。「辞める」、「辞任する」という「quit」の文字が登場する。これだけ印象的にしかも何度も出てくるとさすがの僕の脳も観念したようだ。
実はquitには「免除された、解放された、自由な」という意味もある。僕は「quit」地獄から解放された…などと他の意味まで調べる余裕ができたようだ。映画「ニクソン」の中のリチャード・ニクソンは大統領を辞めることになったけれど、辞めたことで精神的には解放され、自由になったと言えるのかもしれない。ともかく今後、映画「ニクソン」の話題が出たら(あまり出ないとは思うけど…)、内容よりも先に「quit」の単語を思い出すだろう。

(ヒアリングマラソン開始から45日 1000時間まで残り890時間)

本を表現媒体にしようと決めてから3年が経つ。一生、本が出ないのではないだろうかと不安に思ったこともある。そんな時、『イングリッシュジャーナル』に時折、掲載される小説家やノンフィクション作家のインタビュー記事を読み聞きすることが多かった。僕とレベルは違うにしろ、同じ本を表現媒体にしている方々なので参考になることも多いし、励まされることもあったのである。
ようやく一冊目の本の出版社が決まり、第一稿を書き上げたのが昨年の秋。編集者からの直しを待っている間に二冊目の本に取り組み始め、こちらも第一稿ができ上がった。そこで年末から出版社に営業を始めた。某出版社から興味があるので見せてほしいという連絡をいただいたものの決定したわけではない。
お目にかかる前日はやはり不安だった。そして、『イングリッシュジャーナル2012年2月号』に掲載されていた小説「いちげんさん」の作者デビット・ゾペティ氏のインタビュー記事を読んだ。スイス生まれの彼は日本の大学を卒業後、テレビ朝日初の外国籍社員になり、記者やディレクターとして勤務し、90年代後半、日本語で書きあげた「いちげんさん」で、すばる文学賞を受賞し、芥川賞候補にまでなった。
インタビューの中で彼が高校時代、書店で「独りで学ぶ日本語」という本に出会ってから日本語にのめり込み、挙げ句に来日することになるエピソードが書かれていた。
「I find it amazing how 10 or 15 minutes spent in a bookstore can change the person’s entire life.」
(書店で過ごしたわずか10分か15分が、一人の人間の全人生をどれほど変えるか、ということに驚いています)
書店で過ごす時間、言いかえれば本にはそんな力を秘めていることを改めて知った。僕の本で人の人生を変えようとは思わないが、読んだ方が少しでも優しくなれ、少しでも笑顔になれるような本を創っていきたいと思った瞬間でもあった。
翌日、その想いが編集者に伝わったのかどうかはわからないが二冊目の本が決まった。もちろん書店が本に並ぶまでは先が長く、気が抜けない。一字一句心を込めて、今日も書き続けていこうと思う。

(ヒアリングマラソン開始から30日 1000時間まで残り950時間)

僕が日本に帰国してから3年が経つ。当初は3カ月ほどでセカイサンポの本をさらさらと書きあげて出版し、セカイサンポ3の準備に取りかかるつもりでいた。しかし、世の中は、そんなに甘いものではない…ということを改めて知らされた3年間だった。
子供の頃は本嫌いで30歳を超えてから本を読み始め、35歳を超えてから文章を書き始めた程度で本にしてくださるところなど当たり前だがそうそうない。やる気ばかりが空回りするので気持ちだけが焦る。それでも帰国してから1年後、ようやく出版が決まった。ここからがまた長かった。書き上げた原稿は全部ボツ。出版が決まってから2年を要した。結局、帰国してから3年かかり、今年、ようやくデビュー作を書き上げた。まさに「石の上にも3年」の作品である。
そして40代を超えてから始めた英語習得への道のり。固い頭と頑固な日本語耳、何の役にも立たないプライドを持つ口、そして何より怠け者の性格のおかげで全くと言っていい程、上達しない。一念発起して「1000時間ヒアリングマラソン」をやり始めたが、時間を稼ぐことばかりに意識は向いてしまう。聞いているといっても別のことを考え、耳の中で鳴っているだけに近い。これでは英語耳などできるわけもない。時間の累計はごまかしでしかないことは自分自身が一番よく知っていた。
そんな中で迎えたヒアリングマラソン3年目。初心に戻り、一つ一つのコンテンツを丁寧にやるようになった。30周年のヒアリングマラソンをなめてはいけない。きちんとやれば嫌でも英語は身体に染み込んでいくのだ。相変わらず話すことは苦手だが、読むことと聞くことは以前よりできるようになったと自信を持って言えるようになった。
…とヒアリングマラソン3年目に突入する前に1年後の自分をイメージして書いてみた。とは言え、かなり出遅れている。不安なスタートではあるが、今年度は精聴を意識した英語の時間を多く過ごしたいと思っている。本は「石の上にも3年」だが、ヒアリングマラソンは「3度目の正直」で。

(ヒアリングマラソン開始から14日 1000時間まで残り980時間)

宮城県は石巻市でこの原稿を書いている。この1カ月、京都、岐阜、東京、宮城と4つの県を渡り歩いていた。旅生活からしばらく遠ざかっていたので新鮮で楽しい日々だが、一人の時間が少なく、なかなか「ヒアリングマラソン」の時間がとれないことが問題だった。しかし、昨年は残り147時間で終了したことを考えると時間だけ見ればとりあえず昨年より超えた。以前、ここにも書いたが、今の僕の英語学習のやり方には大きな問題はあるが、唯一の救いは、この2年間で一日のうちどこかの時間で英語に触れるという習慣だけはついた。そこには一人の時間を持つという恵まれた環境にあったからだとは思う。
しかし、今回のように一人の時間が少ない旅ではなかなかヒアリングの時間が持てない。宿泊の部屋も同じだと寝る寸前か早く起きて散歩しながら聞くことになる。一日せいぜい1時間。車の移動中にということもあるが、今回のように車移動となると仲間と同じ空間の中で過ごし、会話が中心になり、自分一人だけ英語を聞いているというわけにもいかない。ただ、長く運転していると徐々に会話も少なくなり、そのかわりにかけていた音楽もマンネリ化してくる。
「ちょっと今、英語でヒアリングマラソンの時間を稼がなきゃいけないから、英語かけていい?」
そう言って持ってきているi-Podをつないだ。みんなも面白がってくれた。『イングリッシュジャーナル』に収録されていたスティーブ・ジョブズのプレゼンテーションを流す。彼が話す英語が車内に静かに流れる中、僕は耳で英語を受けとめながらも頭では今後の英語について考えていた。どうせだったらここでひと踏ん張りして1000時間を達成したい。1日4時間のペースで乗り切るぞ。気持ちを新たにしたのである。
と思いきや、今、「ヒアリングマラソン」の記録ファイルを眺めていたら、大きな間違いに気づいた。5月の時点からここに記されていた時間がずれ始め、ちょうど今回で終了だったのである。つまり、今年度、トータル879時間で終了してしまったのだ。あまりにもあっけない幕切れ…。頭は混乱中である。

(ヒアリングマラソン開始から364日 ヒアリングマラソン二年目は879時間で終了)

風呂に浸かる時間が長くなる季節になった。昨年の『イングリッシュジャーナル』の「あっぱれジャパニーズ」の中で登場した国際人権NGO日本代表の土井さんが、風呂に浸かっている時に英語の独り言をするという話が記憶に残っている。これでスピーチ力が格段に上がったらしい。
今の僕に必要なことだとは頭で分かっているが、相変わらず怠け者の僕は風呂に浸かる時間は様々な場所から届く雑誌やフリーペーパーなどに目を通す時間になってしまっている。アルクから届く月刊『アルコムワールド』も楽しみの一つである。
今月の特集は「一人でも旅したい島」。語学力を試しに海外へ行く際、参考になる13の島が掲載されていた。選択の基準は治安がいいことと豊かな自然、そして人の温かさらしい。
ロサンゼルスに近いサンタ・カタリナ島やイギリスのアイルランド島から、東南アジアのフィリピン諸島まで短期英語留学も含めた楽しみ方が掲載されている。中でも僕が気になった場所が二つ。一つはカリブ海。プエルトリコの東に浮かぶセント・マーティン島。島の中でフランス領とオランダ領の区域が分かれている。それにも関わらず、公用語は英語というユニークな島である。熱帯性気候だが湿気が少なく、年中居心地のよい常夏のリゾート島。セカイサンポでいくつかの都市を歩き疲れた後に立ち寄るにはよさそうだ。
もう一つがカナダの東海岸に浮かぶプリンスエドワード島。「赤毛のアン」でも知られるこの島は、赤土の海岸線が特徴的で、自転車をレンタルしてサイクリングしてみたい。こちらの島には語学学校もあるので、セカイサンポの途中で1週間程度、入ってみるのもいいかもしれないなぁ…などと妄想に浸っているうちに手足がふやけてしまう。風呂からあがると行きたい場所の候補地リストに早速、セント・マーティン島とプリンスエドワード島の名前をつけ加えた。セカイサンポ3の目途は全くたっていないのにね。

(ヒアリングマラソン開始から322日 1000時間まで残り152時間)

「1000時間ヒアリングマラソン」2年目も開始から300日。残り2カ月で1000時間まで197時間となった。i-Phoneに1年以上分の「ヒアリングマラソン」のマンスリーCDと『イングリッシュジャーナル』の音源を入れ、歩きも含めた電車やバスの移動時間、草むしりや洗濯物干しなど家の雑用の時間、飼い始めたヤギと散歩する時間など細切れの時間は聴く癖をつけ、一日に一本程度、映画もしくはアメリカドラマを字幕なしか英語字幕で読むようにしてきた。それでも僕の耳は未だ英語を理解するには程遠い。アルクの営業妨害になっているのではないかと思うほど自分の英語力が伸びていないことに自己嫌悪に陥ることも正直ある。
英語習得のスピードなどは人それぞれで比べるものではない。結局のところ時間がかかっても英語を身につけられればいいのである…と頭ではわかっているが、なかなかそう思えないことも事実である。今年の僕は多聴の時間はとってきたが、精聴が極端に少ないという僕の英語学習の取り組み方に問題があることも、はっきりしているからだろう。
多聴の成果がほんの少しだけ現れたのかもしれないという体験がせめてもの救いである。実はここ数日、マンスリーCDの今月の本音トークや『イングリッシュジャーナル』のミステリースピーカーズのコーナーを何気なく聴き流していたら、「あれ?文章の塊で理解しているかも」と思う瞬間があった。英語を日本語に変換して理解するのではなく、英語のまま何となく塊で理解しているかもという感覚は持ったのは初めてのことだった。もちろん、たまたま簡単な月だっただけなのかもしれないが、それでも「今年、嬉しかったこと」のベスト10には入る程、僕にとっては大きな出来事だった。
今年の春に行われた朝英語の講演で茂木健一郎さんが、
「全ての英語がわかるなんてことは一生ありませんよ」
と言ったことが印象に残り、それは今も残っている。あの時にいい意味で力が抜けた気がする。自分のペースで少しずつわかる部分を増やしていこうと。

(ヒアリングマラソン開始から308日 1000時間まで残り197時間)

英語字幕で映画を観る習慣は続けている。早く字幕なしで聴きとり、スラスラと洋書が読めるようになりたい一心で。
「ひょっとしたら今日こそは「あれ?急にわかりはじめたぞ…」と思う日になるのではないだろうか?」
密かな期待を抱きながら、いつも観始める。そして、始まって10分もしないうちに、
「やっぱり今日もダメか…」
と思う。その連続である。それどころか見慣れた語彙が並んでいるのに意味が取れない文章に出会うと自分の語学力が後退しているようにさえ思える。
11月号の『ENGLISH JOURNAL』に「ネイティブの語彙感覚」の特集があった。「have」と「give」と「take」と「make」。簡単な言葉なのだが、いつも僕が翻弄されているものの単語が並んでいた。
Nobody thought that he had it in him.(彼がそんなことをやれる人間だとは、誰も思わなかった)
I give her diet a month at the most.(彼女のダイエットはせいぜい続いて1ヶ月だろう)
He took her to mean she refused.(彼は、彼女が拒否したのだと思った)
She spoke in a loud voice to make herself heard.(彼女は聞こえるように大きな声で話した)
これらは僕が読んで、「?」が頭に浮かび、状況の映像が浮かばなかった文章である。全て知っている語彙で書かれているにも関わらず。そしてまた落ち込む。「ネイティブの語彙感覚」のタイトルの前に「英語上級者なら持っている」と小さく書かれていることだけが救われた。英語上級者でないとこの感覚は難しいのかと思うと多少でも気は楽になる。
意味を読むと「なるほどなぁ」とは思うが、次に映画を観た際、この使い方が英語の字幕で出ても、ぱっと思い浮かぶ感覚が出るだろうか…と思うと自信はない。この感覚を持てるようになるまでは、まだまだ先は長そうである。英語学習の果てしない旅を想像すると大きなため息を吐く。それでもあきらめない。いや、あきらめることをあきらめているんだろうなぁ。さてさて、今日も映画を観るとするか。

(ヒアリングマラソン開始から294日 1000時間まで残り242時間)

現在、僕が住む町はカナダのアルバータ州の小さな町と友好都市の関係を結んで10年になる。民間レベルではその関係を発展させていこうという会もある。その会に僕も入れていただいた。当初は、お互いに留学生が行ったり来たりしていたようだが、現在は、それもなくなってしまったらしい。それでもALT(assistant language teacher)と呼ばれる外国人の英語の先生とコミュニケーションを持つ貴重な場として細々ながらも活動は続いている。
先日、手巻き寿司パーティーが行われた。カナダ人の女性のALTとオーストラリア人の女性のALTが参加した。僕にとっては英語を話す絶好の機会である。
しかし、普段のパーティーでさえ女性どころか男性にも声をかけることができない僕が外国人の女性に声をかけることなど、難易度が二段階ほど高くなる。
結局、手巻きの具材を海苔に巻きながら近所の方とお話していた。その方は社交的な方なので、別の日本人男性に僕のことを紹介してくださった。ヤギを飼っていると伝えると周囲が驚いた。
「What did you say?」
その様子を見ていたALTが僕に質問した。
「I have a goat.」
僕は彼女に向かって初めて英語で言った。これくらいなら僕でも言える。すると彼女も驚いた。
「Do you have a god? Are you god?」
彼女の驚きはヤギではなかった。Goatがgodに聞こえてしまったのである。僕の発音の悪さもここまでひどいとは。
「G.O.A.T. goat」
と言い直して、みんなで笑った。少し空気がほぐれたこともあり、その後は片言の英語で彼女と寿司の話をした。
その後にビンゴゲームなった。
「what’s this hall?」
彼女はそう言いながら僕と同じようにビンゴゲームの用紙の数字の真ん中の「free」と書かれた穴を空けた。彼女はビンゴゲームを知らなかった。しかし、縦という単語も横という単語も僕の口からは出てこない。他の言い方を考えればいいのだが、すぐに言わなければという焦りがあり、結局、出た言葉は、
「Punch the number she said.」
と言って司会の女性を指した。彼女は、わかったようなわからないような顔をしながらゲームに参加した。そして僕より早く商品をゲットしていった。

(ヒアリングマラソン開始から290日 1000時間まで残り290時間)

2007年で活動を終えたホワイトマンプロジェクトをアートに特化した形で再開してみようかなぁと思い、お目にかかる人たちに相談している段階である。携帯電話にはいくつか問い合わせも入り始め、そして一本の問い合わせの電話が入った。
「hallo! this is ●×」
外国人からだった…というところまで前回、書いた。
外国人からの電話など何年ぶりだろう。少なくとも岐阜に移り住んでからは記憶にない。
「Thank you for calling.」
と言うのが精一杯。その後、相手は怒涛のように英語を話してくる。頭はパニックになるが不思議と言っていることは数年前より理解できていた…と思う。友人のIT会社社長から紹介され、電話番号を聞いてかけたから始まり、そして、自分は、現在、新宿のホテルに宿泊しているのだが会えないかと言っている。
「How about lunch tomorrow?」
彼が9割話して、僕はぽつりと一言つぶやくのが精一杯。しかし、彼は翌日の昼間のスケジュールは埋まっていると言う。ここ数日の空いている時間を伝えてくれるのだが、逆に僕のスケジュールと合わない。その次の週であれば暇になると彼は言うのだが、次の週は僕が東京にいない。
スケジュールが合わないなぁとなったところで、ところであなたは、いったいどんな物を作るのかと彼は聞いてきた。これは一言というわけにはいかない。しかし、日本語でもホワイトマンプロジェクトを説明することは難しいのに英語となると全く出てこない。
「I can’t explain project in English. But I have a book of my project ……written by English. I’ll go to your hotel. I leave it on front. OK?」
たぶんそんなことを言ったと思う。一応、彼もOKとは言った。伝わったのかどうか正直わからない。翌日、僕はホワイトマンの世界観を現したビジュアルブックと名刺をホテルのフロントに届けた。
その後、彼から連絡はない。直接、会って、英語で説明できていたら…と思うと悔やまれてならない。自分の発する英語でプロジェクトを説明できないことは、今後、このプロジェクトを進めていく上での壁になるのかもしれない。

(ヒアリングマラソン開始から266日 1000時間まで残り325時間)





